MOIZのBlog-的外れな指摘

アメリカ在住の日々の雑事を綴ります

瞳を閉じて、老眼対策

アメリカでVuityという老眼対策薬が承認されたというニュースが話題になりました。

www.vuity.com

私のツイッターのTLでも紹介している方がいました。

処方箋が必要だが保険はきかない、ということで薬局の店頭で買える目薬のようには気軽には使えませんが、点眼するだけで老眼対策ができるというのは魅力的です。

仕組みは薬の効果で瞳孔(瞳)を小さくすることで、焦点のあう距離を広げ、老眼の人でも比較的近くまで見えるようにするという事だそうです。Vuityのホームページには"VUITY™ primarily works by reducing your pupil size to help you see up close."と書いてあります。眼科で瞳孔を開く薬が処方されると目の焦点が合いにくくなりますが、その逆の作用があるということでしょうか。使用上の注意としては、暗い所で見えにくくなる事が述べられています。これも瞳孔を開く薬の注意点とちょうど真逆ですね。

薬によって「瞳を閉じて」みると、老眼対策になるわけです。

と、ここまで調べて気がついたのですが、瞳孔を狭めて見える範囲を増やすというのは、まさにカメラで絞り(Iris=瞳)を小さくして被写界深度を広げるのと同じ行為です。カメラの被写界深度は絞りを絞るほどほど広がるので、Vuityを使用するのはカメラのF値を大きくするのに対応すると考えると、見える範囲が広がることも暗い所で見えにくくなる事も理解できます。(絞りを絞ると透過する光の量が小さくなるので、撮影される画像は暗くなる) 

同じように考えると、明るいところで老眼の人でも比較的楽に近くの物が見える現象も理解できます。周りが明るいと人間の目は瞳孔を縮めて目に入ってくる光の量を調整します。すると絞りが小さくなり、被写界深度が広がるわけです。明るさと人間の目の焦点の関係がいままでピンときていなかったのですが、カメラの動作と関連付けると理解できるようになりました。

さらにもう一つ、逆に瞳孔を広げる状況を考えてみます。人間の目は、自分の興味のある物・人を見るときは無意識に瞳孔が広がるそうです。つまり、好きな物を見ると、絞りは広がり、被写界深度は狭くなり、対象以外の物はぼけて見えやすくなるわけです。何か興味のある物を見ているときに他の物が目に入らない、自分が好きな人が視界にあると他の人の事は見えない、という現象は、脳内だけでは無く目の中でも起きているのかもしれません。ついでにいうと、カメラでF値を小さくして対象以外をぼけさせるいわゆるボケ表現は、こういった恋する人物の見え方をシミュレートしているのかななどと考えてしまいます。